これから住宅ローンを契約するあなたは、住宅ローンのリスクをしっかり確認しておく必要があります。
もし住宅ローンの返済が滞った場合、
- どのような流れで事態が進行するのか
- どのような選択肢が残されているのか
- もし自己破産した場合どうなるのか
を理解しておくことは重要です。
このページでは、住宅ローンの滞納が続いた場合に、最終的に競売で家を失う流れについて解説します。
そして実際に自己破産した人の体験談もありますので、大変参考になります。
では読み進めてください。
住宅ローンを返済できなくなると、どうなる?
住宅ローンを1回滞納すれば、銀行から督促が来ます。
うっかりミスや、その月だけ出費が多かったなど、やむを得ない事情もあるでしょう。
すみやかに支払えば、それほど問題にはなりません。
しかし滞納が続くと、最悪の場合、家を失います。
まずは住宅ローンを滞納してしまったときの流れを解説いたします。
住宅ローンを滞納し、競売で家を失うまでの流れ
住宅ローンをひたすら滞納し続けた場合はどうなるか、その流れを見ていきます。
最終的には競売(けいばい)により、強制的に自宅を売却し、住宅ローンの回収が行われます。
銀行によって対応は多少異なるが、主に以下の手順で滞納後の対応がとられます。
住宅ローン滞納1回目:督促状
住宅ローンの返済を1回滞納すると、まず銀行から督促状が送られてきます。
遅延損害金も発生し、返済額が増えることになります。
滞納を解消するためには、速やかに未払い分と遅延損害金を、一括で支払う必要があります。
ココでしっかり対応できれば、深刻な状況にはなりません。
住宅ローン滞納2ヵ月:来店依頼状
滞納が2ヶ月続くと、銀行から来店依頼状が届きます。
この通知は、返済計画の見直しや状況の確認を目的としています。
この段階で銀行と相談し、返済方法の変更や猶予をお願いすることも可能です。
しかし、遅延損害金は引き続き発生し、滞納状況が改善しないと、深刻な事態に進んでしまいます。
住宅ローン滞納3~4か月:「期限の利益喪失」の通知
滞納が3~4ヶ月に達すると、銀行から「期限の利益喪失」の通知が送られます。
この時点では結構ヤバいです。
通常家を買った人は、住宅ローンは一括払いではなく、毎月の分割払いを認めてもらう権利を持っています。
(これを「期限の利益」と呼びます)
しかし、ローンを滞納すると、分割払いの権利が無くなる「期限の利益喪失」となり、残りのローンを一括返済する義務が発生します。
この時点で「ブラックリスト」に登録され(信用情報機関に載る金融事故の記録)、今後の生活に大きな支障が出ます。
住宅ローン滞納5~6か月:一括返済の請求
「期限の利益喪失」の通知後、銀行は正式に一括返済を請求します。
この請求に応じられない場合は、保証会社が残りの住宅ローンを肩代りして、銀行に一括返済(代位弁済)をします。
もちろん「ローン返済が無くなった、ラッキー」とはなりません。
借金返済を請求する権利が、銀行からその保証会社に移るだけで、引き続きローンの一括返済を受けることになります。
(※保証会社を使ってない場合は、引き続き銀行から請求を受けます)
遅延損害金も含めたローンの一括返済に応じられなければ、保証会社は自宅を差し押さえ、競売の準備を開始します。
住宅ローン滞納6~10か月:競売開始の通知
保証会社(または銀行)は裁判所へ「競売の申し立て」を行い、裁判所から「競売開始決定通知書」が届きます。
これにより、自宅が競売にかけられる手続きが正式に始まります。
裁判所の執行官が自宅を訪問し、現地調査を行い、入札価格が決定されます。
滞納者は、競売で落札されるまでは自宅に住み続けることは可能です。
住宅ローン滞納10~12か月:競売が実行され強制退去
競売が成立すると、落札者へ所有権が移り、強制退去を命じられます。
この段階で抵抗してもムダで、退去を避けることはできません。
居座り続けると、執行官によって、強引に自宅から追い出されることになります。
競売のメリット
競売にあまりメリットはありませんが、一応確認をしておくと、次のメリットはあります。
自宅が競売になるメリット
- 債権者(銀行、または保証会社)との直接交渉が不要
- 手続きが自動的に進行するため手間がかからない
- 売却・転居までの期間が長くとれる(最短でも6カ月程度)
競売のメリットは、手続きが裁判所によって進行するため、滞納者が自ら解決策を探す必要がなく、手間はかかりません。
そして自宅を差し押さえられてから退去まで、6か月程度の猶予があります。
比較的長く自宅に留まることができ、次の住まいを探す時間を確保できます。
競売のデメリット
ご想像通り、競売はデメリットが大きいです…。
自宅が競売になるデメリット
- 市場価格の5~6割という低い価格で売却されてしまい、借金減額幅が小さく、残債務が残る(オーバーローン)
- 残債務の返済ができなければ給与が差し押さえられる(手取りの4分の1)
- 強制退去命令により、自宅を失う
- 信用情報がブラックリスト入りになり、クレジットカードが使えなくなる
- 競売情報が公開され、知り合いに経済的困窮が知られる可能性
市場価格よりも安く売却されることが一般的で、住宅ローンを完済できないことが多いです。
市場価格よりも安くなる理由として、
- 入札者が物件(滞納者の自宅)の内覧ができない
- 物件に不具合があっても一切保証がない(購入者がすべて責任を負う)
- 住まい続けている滞納者とトラブルになる可能性を引き継ぐこと
などがあります。
もしあなたが競売に入札する側である、反対の立場だった場合、自暴自棄になった滞納者と、
「もうどうだっていいや、オラー!!」
と何かされたら怖いですよね…。
そのため市場価格より安くなってしまい、自宅を失った上に借金だけが残ることになる可能性が高いです。
そして残債務があれば、給与が差し押さえられる可能性があります。
この情報は職場に知られることになります。
競売情報も公開さるため、色んな人に経済的困窮が知られる可能性があります。
イヤですよね…。
そして、競売落札後には、すみやかに退去しなければなりません。
次の所有者にとっては「不法占拠者」です。
間違っても「オラー!!」と、危ないことをしてはいけません。
家族に迷惑が掛かります。
だからと言って無抵抗でも、そのまま自宅にとどまっていると、家族の感情を無視し、まるで血も涙もないかのように自宅から強制に追い出されることにもなります…。
残債務が残ってしまう場合は「自己破産」が有効
競売後に家を失いつつ、住宅ローン返済やその他の借金返済が続くのは、生活の困窮を極める事になります。
住宅ローンを滞納する状況になると、ローン支払いのために消費者金融から借金をして、返済に充てることも少なくありません。
借金の苦痛から解放される最終手段として、自己破産があります。
自己破産すると、残りの住宅ローンやその他の借金が全てチャラになり、生活再建がしやすくなります。
借金が無くなることで精神も安定し、仕事にも集中でき、うまくいけば新たに住宅を買うことも可能です。
次の章では、自己破産のメリットについて解説します。
自己破産すると住宅ローンやその他の借金はチャラ!
自己破産をすれば、住宅ローンやその他の借金をすべてなくすことが可能です。
※(注意)チャラにできない借金もあります
ただし、財産が没収されたり、信用情報に傷がつくデメリットもあります。
それでも、借金での苦しい生活から解放される大きなメリットがあります。
自己破産のメリット
自己破産をする最大のメリットは、借金が全額免除されることです。
自己破産のメリット
- 借金がチャラになる
- 督促、取り立てが止まる
- 自分や家族の精神的苦痛から解放
- 99万円以下の現金と家具家電などの生活必需品は残せる
- 給与の差し押さえの解除
自己破産の手続きの開始と同時に、債権者からの督促・取り立てが停止されるため、自分や家族の精神的苦痛が軽減されます。
さらに、99万円以下の現金や家具・家電などの生活必需品は手元に残すことが認められており、最低限の生活基盤を維持しながら再出発が可能です。
給与の差し押さえも解除されるため、安定した収入を得ながら生活を立て直すことができます。
これらのメリットから、新たな生活をスタートしやすくなります。
自己破産のデメリット
自己破産には次の大きなデメリットがあり、思いとどまる人も少なくありません。
自己破産のデメリット
- 連帯保証人があなたの借金を背負う(大迷惑がかかる)
- 不動産や車など高価な財産は売却し、現金化される
- 20万円を超える預金は没収される
- 貯蓄型の保険、学資保険は解約し、現金化される
※返戻金が20万円未満は解約されない - 官報に記載される(全国に公開される)
- 破産手続完了まで就けなくなる職業がある
- 信用情報機関に金融事故が登録される(ブラックリストに載る)
連帯保証人がいる場合、あなたの借金はその連帯保証人が負うことになります。
通常、連帯保証人には一括返済を求められるため、その連帯保証人も自己破産に追い込む可能性が高いです。
これは大変つらいことです。
不動産や車などの高価な財産はすべて売却され、現金化され、借金返済にあてられます。
信用情報機関に金融事故(いわゆるブラックリスト)として登録され、クレジットカードが使えなくなります。
日々の買い物で不便になるのはもちろん、公共料金やスマホの支払いで使っている場合は、支払い方法の変更が必要です。
自己破産の事実は官報に掲載されるため、知り合いに自己破産したことがバレる可能性があります。
(※金融業や不動産業の人たちなら官報をチェックしていることはありますが、一般人が官報を見る事は少ないですが…)
破産手続きが完了するまで、特定の職業(仕業、貸金業、警備員、保険外交員など他人の財産や秘密を扱う職業)に就くことが制限されます。
以上のデメリットから、自己破産を避ける人も多いです。
自己破産しても影響がないこと
自己破産は、その本人に影響はありますが、基本的に家族に影響はありません。
自己破産しても影響が無いこと
- 預貯金ではなく、手元にある99万円以下の現金は没収されない
- 20万円未満の貴金属、家具・家電は残せる
- 子どもが管理している子供名義の銀行口座からは没収されない
- 家や車でも、家族名義の財産であれば残せる
- あなたの年金に影響はない
- 戸籍や住民票などの公的書面に、破産を示す情報は載らない
- 自己破産完了後の新たに資産は没収されない
- 会社をクビになることは無い(退職を強制されない)
- 転職、就活で破産を申告する必要はない
- 選挙権・被選挙権は無くならない
- 海外旅行に行ってもOK
- 生活保護の受給も可能
- 生活に必要な自動車を保持できる場合がある
- 公共の福祉サービスの利用に影響なし
- 止められた電気・ガス・水道は使えるようになる(注意:破産後に公共料金を滞納すると止められる)
- スマホ契約を継続できる(電話番号の保持可能)
- 自己破産後に新たにローンを組むことも将来的に可能
- 免許や資格が失われない(例外あり)
- 生命保険の受取人として保護される
- 公共住宅の申請が可能
- 子どもの進学に影響なし
- 家族の就職・転職に影響なし
- 家族名義クレジットカードは作れます
そのほか、個人の状況に応じた、自己破産で影響あること・無いことの詳しい状況は、専門家へ相談して確認しましょう。
自己破産手続きの流れ
自己破産の手続きは、自分で行うことも可能ですが、ほとんどの人はそのやり方がわからはいはず。
一般的には弁護士に依頼して自己破産手続きを行います。
弁護士に自己破産を依頼した時の流れ
- 弁護士に破産を依頼(無料相談も可)
- 債務者からの督促・取り立てを止めてもらう(受任通知の発送)
- 資産、借金、収入などの情報をもとに必要書類を作成
- 弁護士が裁判所に自己破産の申し立てを行う
- 申立書類の審査
- 裁判官と借金の経緯や財産確認の面談
- 不動産などの財産を持っていれば、競売で現金化し、債権者に分配
- 免責許可決定(全部チャラか、一部借金が残るか)
- 新しい生活のスタート
ただし、弁護士費用が30万円以上かかります。
弁護士費用を払ってでもお願いするか、手間がかかってでも自分でやるか、無料相談の時にご判断ください。
自己破産以外の住宅ローン滞納解決方法
出来れば自宅を残しつつ、借金問題をどうにかしい場合は、次の手段があります。
「個人再生」(裁判所が介入する)
「任意整理」(裁判所は無関係)
「任意売却」(裁判所は無関係)
「リースバック」(裁判所は無関係)
それぞれメリット・デメリットがあるので、メリットが大きくなる人の場合は有効な選択肢となります。
個人再生で借金を減額
個人再生(こじんさいせい)とは、裁判所を通じて借金を5分の1まで大幅に減額し、3~5年で分割返済する手続きです。
個人再生のメリット
- 債権者からの督促が止まる
- 借金が大幅に減額できる
- 自宅を残せる
住宅ローンを滞納すると、「期限の利益」を失い、一括返済を求められます。
ほとんどの人は一括返済に応じられないので、自宅は競売で売却され、家を手放すことになります。
しかし個人再生では、「住宅ローン特則」の適用が可能で、いつも通りローンの分割払いが認めらる代わりに、ほかの借金の減額ができます。
つまり、自宅を手放さずに、他の借金だけを減額できます。
自宅は重要な生活基盤です。
愛着あるマイホームを残せるのは、生活再建を目指す人にとって大きな力となります。
個人再生のデメリット
- 住宅ローン引き続き残る
- 保証人付の借金は、その保証人が減額の返済をしなければならない
- 金融事故情報が載り(ブラックリスト)、クレジットカードが利用停止(解約)
- 官報に掲載され、知り合いにバレる可能性
- 手続きが複雑
個人再生の大きなデメリットとして、保証人へ借金減額分の一括返済を求められることになります。
個人再生を選択する、一番の悩みどころとなるでしょう。
ただし、保証人付の借金が無い場合はこのデメリットは無く、個人再生を選択しやすくなります。
そして、個人再生は住宅ローンはそのまま残るため
「住宅ローンは払っていけるか?」
も大きな判断材料となります。
個人再生の適用条件
- 住宅ローン以外の借金が5,000万円以下
- 安定した収入を得ている
- 債権者(銀行や保証会社)がOKしている
保証会社による代位弁済の後であっても、巻き戻せる可能性があります。
自宅が競売になる前に、できるだけ早く専門家に相談する事が重要です。
任意整理で借金を減額
任意整理(にんいせいり)とは、借金を整理し返済を容易にするための手続きの一つで、債務者が裁判所を通さずに、債権者(金融機関など)と直接交渉して、借金の利息や返済期間を調整する方法です。
この手続きでは、借金の元本は基本的に減額されませんが、利息や遅延損害金の減額・免除が認められる可能性があります。
任意整理のメリット
- 裁判所を介さず、債権者と直接交渉できるため手続きが比較的簡単
- 利息や遅延損害金を減額または免除してもらえる可能性がある
- 自宅を処分せずに借金返済を続けられる
- 返済計画を立て直すことで、無理なく返済を進めることが可能
- 減額対象の債権者を選んで個別に交渉できる
クレジットカード会社だけ、消費者金融だけ、またはその両方など、減額交渉したい債権者を選んで個別で交渉します。
ただし、交渉の結果は債権者次第です。
任意整理のデメリット
- 保証人付の借金は、その保証人が返済をしなければならない
- 住宅ローンは任意整理の対象にできない
- 債権者が交渉に応じない場合、任意整理が成立しない可能性がある
- 金融事故情報が載り(ブラックリスト)、クレジットカードが利用停止になることがある
- 一部の債務を減額できるが、対象外の債務は減額せずに残る
やはり保証人に借金の返済が移ってしまいます。
しかし、その保証人付きの借金を任意整理から外すことができます。
保証人に迷惑を掛けたくない場合は、その他の借金だけを任意整理の対象にしましょう。
また、住宅ローンは任意整理の減額対象にはできません。
任意整理に向いている人
- 住宅ローンを支払える収入がある人
- 保証人に迷惑をかけたくない
- できるだけ面倒ごとは避けたい
- できるだけ周囲にバレずに借金問題を解決したい
任意整理は裁判所を通さないため、官報に任意整理の事実が載ることはありません。
任意売却(任意売却)で、できるだけ高く自宅を売る
任意売却(にんいばいきゃく)とは、住宅ローンの返済が困難になった際に、債権者(銀行)の許可を得て、住宅を市場で売却し、その売却代金を返済に充てる手続きです。
任意売却と任意整理は言葉が似ていますが、次の違いがあります。
任意整理
- 対象:住宅ローン以外の借金
- 目的:借金の減額
任意売却
- 対象:住宅などの不動産
- 目的:競売で安く売却されること避け、できるだけ高く売却すること
競売では市場価格の5~6割という低い価格になっていまいます。
しかし任意売却では、市場価格に近い価格で売却できる可能性があります。
そのため、住宅ローンの支払い残りをできるだけ圧縮可能になり、自己破産を避けることが目指せます。
リースバックで自宅を売りつつ、そのまま住まう
リースバックとは、任意売却などで自宅を売却した後も、元の所有者が購入者と賃貸契約を結んで、そのまま住み続けることができる仕組みです。
もし任意売却で自宅を売ってしまった場合は、すみやかに退去しなければなりません。
しかし元の自宅を、賃貸物件として扱い、賃貸契約すれば引っ越しする必要はなく、そのまま住み続けることができます。
売却相手が個人ではなく、不動産会社なら可能な仕組みになります。
引っ越しが不要なため、家族の生活に大きな変化をもたらさないことがメリットです。
デメリットは、一般的な賃貸住宅に比べ、割高な賃料になることです。
しかし、売却した自宅を買い戻せる可能性があるのは、生活再建の力となります。
自己破産後に住宅ローンを利用する方法
事後破産後に再び、住宅ローンでマイホーム購入は可能です。
- 信用情報機関に載った金融事故情報(ブラックリスト)が消えるまで、5~10年間待つ
※各信用情報機関(CIC/JICC/KSC)に照会して、金融事故が消えたか確認できます - 安定した収入を得る
- 借金をしない(信用情報をキレイに保つ)
- 貯金をする(頭金を貯める)
- 住宅ローンが通りやすい金融機関を探す
- 心身の健康を保つ
見逃しがちになりますが、健康維持も重要です。
病歴があると、住宅ローン借り入れ条件になる、団信の加入審査に通りづらくなります。
また、収入がしっかりあれば、あなた以外の家族名義で、住宅ローンを組む方法もあります。
住宅ローン自己破産体験談
ここで、実際に自己破産をした方の体験談をご紹介します。
住宅ローンは「思いつきで組むものではない」と断言できます。
お恥ずかしい話ですが、私は勢いで家を買ってしまいました。
これから生まれてくるはずの子供のためにも、「新居に引っ越したい」と妻と意気投合し、思い切って購入することに。
住宅を購入後しばらくは、問題無く支払いができていましたが、5年が経つ頃に支払が滞り、自己破産しました。
当時の住宅ローン内容
- 住まい:地方在住
- 銀行:三井住友銀行
- 頭金:400万円
- 住宅ローン金額:約2500万円
- 金利:1.810%
- 返済年数:25年
- 毎月の返済額:約8万円
今思えば、私たち夫婦にとっては無理のある住宅ローン契約でした。
それでは私の自己破産実体験をお話していきます。
自己破産に至る過程
審査結果が早く良好でしたので、即決でローンを組みました。
利息は1.810%で、やや高め。
しかし、
- 自分たちの家を持つという高揚感
- 借り入れできた嬉しさ
- 大手銀行なので安心出来る
- 早く新居に引っ越したい
という理由で、よく吟味せずに、借入を決めてしまいました。
夫婦共働きでしたので問題無いと思っていましたが、妻がお産に入り、結局は私一人で返済に。
ローンを組んでから5年後、収入が思ったよりも上がらず、毎月のローンの返済が重く感じていました。
特にコロナ期には、ボーナスカットや医療費増加が重なり、予想外の出費も増加。
返済額が足らない月もあり、その分は妻がサラ金で賄うようになました。
さらに2年経過したころ、
- 複数のサラ金からも借り入れ、合計250万円
- 住宅ローンとサラ金で月10万円以上の返済
となり、私たち夫婦の経済力ではもう、アップアップ状態です。
とうとう住宅ローンの返済が遅延し、破産へ
サラ金で生活費を補い、なんとか住宅ローンの返済は出来ましたが、とうとうローンとサラ金それぞれに滞納をし始めました。
一度返済が遅れると、遅延損害金が加わります。
特にサラ金の遅延損害金は、利率が15%とかなり高く、状況がさらに悪化します…。
破産までの流れ
- 住宅ローン返済のためにサラ金から借入れ
- 複数のサラ金から合計250万円
- 最後の借り入れ先へも返済が遅れる
- それぞれの返済が遅れ、遅延損害金が上乗せされる
- 弁護士に相談し、利息払いだけの返済でいったんは破綻を回避も…
とうそう生活費が底をつき、破産をしてしまいました。
破産が原因で一家離散へ…
破産から、家を失い、妻との関係も悪化、最終的には離婚しました。
妻の名義で住宅ローンを組んでいましたが、保証人は私です。
離婚時にはコレが原因で更に関係が悪化。
弁護士に支払う料金も加算され、破産による影響は私本人には致命的な出来事でした。
通常は、自己破産をしても、結婚生活に法的に制限がかかることはありません。
しかし我が家においては、破産に追い込まれたことで、夫婦ともに精神状態がおかしくなり、離婚してしまいました。
住宅ローンを組む前に、住宅ローン破産を防ぐ対策を知っておく
破産を防ぐ重要ポイント
- 住宅ローンは複数の銀行に見積りを取る
- 身の丈に合った物件を選ぶべき
- 出来るだけ少ない金額で支払を継続する
- サラ金からの借入は控える
まずは生活費やその他の出費をもっと深く考慮して、住宅ローンを組むべきだったと後悔しています。
そして、自分たち夫婦の身丈に合う金額の物件を選ぶべきでした。
ローン返済が遅れた際の、遅延損害金はどれぐらいになるのかなども、事前に確認しておくべきでした。
住宅ローン契約前に最適な借り方を吟味する
今思えば当たり前ですが、住宅ローンは金利が少しでも安いほうが良いです。
金利次第で毎月の支払金額が数万円の違いがあります。
最初の段階で、複数の銀行に見積をして、できるだけ安いところを探すべきでした。
また、フィナンシャル・プランナーにも、具体的に返済シュミレーションしてもらえれば良かったです。
多くの場合、妻は妊娠により仕事ができなくなりますので、夫が収入を支えることになります。
一人分の収入だけで、住宅ローンを払い生活していけるか、しっかり計画して下さい。
自己破産するぐらいなら、家なんか買わずに、賃貸のままが幸せです。
頭金を出しすぎず、緊急時用の貯蓄を残しておく
余分な利息を抑えたかったので、できるだけ多くの頭金を出しました。
でも多く払いすぎて貯蓄に余力がなくなり、緊急事態に対処できなくなってしまいました。
頭金は出しすぎない方がよかったです。
返済が苦しくなったら、早めに相談すれば解決の選択肢が増える
私の場合は、住宅ローン支払が出来ない月には、サラ金から借入して支払っていました。
おかげでより借金を増やすことになり、破綻へとつながりました。
ギリギリになって弁護士に相談すると、サラ金には利息のみを返済することで、いったんは破綻を回避。
しかし借金の元金を減らすことはできません。
そして自己破産に至りました。
もっとその前に専門家に相談しておけば、任意売却や個人再生など、自己破産を回避する別の手段も取れたはずです。
「何とかなる」と思い込んでしまったおかげで、自己破産、離婚、一家離散という最悪な末路になってしまいました。
低金利のローンに借り換えを検討する
ローンの見積りを複数社に依頼して、より良い条件で借りれるかどうか検討することも重要です。
私の場合には付き合いのある銀行でしたので信用を優先して少々高い利息で借入しましたが、もう少し調査してから組めばよかったと思っています。
特に住宅ローン専門の業者からの借入は1%未満のところなどもあり、タイミングよく借り換えなども試すべきでした。
管理人からのインタビュー
当Webサイトの管理人「ヨシオ」から、シンゴ殿にインタビューを行いました。
賃貸よりも住宅ローンを組んだ方が得だと思われた理由は何ですか?
ローン返済後は自分の持ち家となるためです。
自己破産した今では、賃貸住まいで良かったと後悔していますが…。
家族の幸せのために手に入れてたはずのマイホームが、不幸な結果となってしまいました。
もし時間を巻き戻せるなら、住宅ローン契約前にするべきことは、何だったと思いますか?
住宅ローンを組む前にですが住居を少しでも安い中古物件にしておけば良かったと思います。補修が必要な箇所はお金に余裕がある時に改修工事をしながら環境を整えることができるのでローンよりも気楽に住居を購入できると友人に指摘されました。
また、ローンの遅延損害金を確認しなかったため今回はそれが重荷になって破産という形になってしまいました。ローン契約前にしっかり確認しておけば良かったです。
もし再び住宅ローンを組むとしたら、金利や返済期間の選び方など、一番重視するのは何ですか?
金利が少しでも安いほうが良いというのが正直な感想です。その他にも毎月の支払金額ですが、余裕を持って低めの設定にしておけば良かったと思います。結婚して世帯を持つという固定観念から焦って契約してしまったのが後に重荷になりました。
住宅ローン返済が厳しくなり始めた段階で、取るべき対応は今なら何だったと思いますか?
先ずは専門家やフィナンシャルプランナーに相談するべきでした。どのくらいの金額で返済していけば良いのか、またどこから借り入れすれば良いのかなどのアドバイスがあったほうが良いと後に気づきました。丁度5年目を経過した時点で住宅ローンの支払が生活を圧迫していることに気づき、この時点で相談するか、その他の住宅ローンに乗り換えるべきだったと感じています。
破産後の生活で一番苦労したことは何でしたか?
車のローンすら組めない状態です。
地方は車社会なので、かなり不便を強いられています。
住宅ローン自己破産のまとめ
住宅ローンを返済できなくなった場合、競売にて自宅を売却され、家を失うことになります。
競売は、市場価格より安く売却されてしまうため、住宅ローンを完済できず、その後も返済が残ることがあります。
最終手段として「自己破産」をすることで、住宅ローンやその他の借金をゼロにすることができます。
自己破産はデメリットもありますが、借金を帳消しにすることで、今後の生活再建を目指しやすくなります。
このページの振り返り
- 住宅ローンを滞納すると家を失うことになる
- 競売のメリット・デメリット
- 自己破産で残債務をチャラにできる
- 自己破産手続きの流れ
- 自己破産以外の解決策もある
- 住宅ローン自己破産体験談
では住宅ローンを含む借金を帳消しにできますが、信用情報に傷がつきます。早期に専門家へ相談することで、より良い解決策が見つかる可能性があります。
リスクを理解した上で慎重に行動しましょう。