住宅ローンが残っていても売却できる方法はあります。
手段の一つが「任意売却」(にんいばいきゃく)です。
住宅ローンを滞納し続けると、最終的には競売で強制的に家が売却されてしまいます。
しかも、競売での売却価格は市場価格の5~6割程度と大幅に安くなってしまいます。
そうなる前に「任意売却」で、市場価格に近い金額で売却をしましょう。
ただし、住宅ローン返済中の家を売却するには、ローンを完済し、「抵当権」を抹消する必要があります。
このページでは、競売を避け、有利な条件で家を売却する方法について詳しく解説します。
完済できるほどの貯蓄は無いが売却したいあなたは、ぜひ続きをお読みください。
住宅ローン返済中の家を売る流れ
まずは、自分の住宅ローン残高を正確に把握することが重要です。
住宅ローンが残っている家を売るなら、「完済できるか」を確認しましょう。
ローン残債確認の流れ
- 住宅ローン残高を確認する
- 不動産査定で売却額を調べる
- 売却額がローン残高を「上回る」or「下回る」の確認
STEP1:住宅ローン残高を確認する
毎年送付される「残高証明書」や、金融機関のウェブサイト・アプリから確認できます。
残高には元金だけでなく、未払いの利息や手数料も含まれる場合がありますので、詳細に確認しましょう。
正確な残高を知ることで、売却時に必要な金額や、完済が可能かどうかの判断材料となります。
情報が不明確な場合は、直接金融機関に問い合わせて最新の残高を確認してください。
STEP2:不動産査定で売却額を調べる
次に、不動産会社に依頼して自宅の査定を行い、現在の市場価格を調べます。
複数の不動産会社に査定を依頼することで、より正確な売却予想額を把握できます。
査定では、物件の立地条件、築年数、間取り、周辺環境などが評価対象となります。
無料で査定を行ってくれる不動産会社も多いため、積極的に活用しましょう。
査定額はあくまで予想であり、実際の売却価格は市場の状況や交渉次第で変動することを念頭に置いておく必要があります。
STEP3:売却額がローン残高を「上回る」or「下回る」の確認
最後に、確認した住宅ローン残高と不動産の査定額を比較します。
もし査定額がローン残高を上回る「アンダーローン」であれば、売却代金でローンを完済でき、手続きも比較的スムーズに進みます。
一方、査定額がローン残高を下回る「オーバーローン」の場合、売却代金だけではローンを完済できず、差額を自己資金で補填する必要があります。
自己資金で完済できない場合は、銀行と相談し、任意売却を検討する必要があります。
売却でローンを完済できる「アンダーローン」の場合
通常の売却手順
アンダーローンの場合は、一般的な不動産売却の手順に従います。
まず、不動産会社に査定を依頼し、適正な売却価格を設定します。
その後、売却活動を開始し、買い手を見つけます。
買主が決まったら、売買契約を締結し、決済日に売却代金を受け取ります。
この代金で住宅ローンを完済し、抵当権を抹消します。
最後に、所有権移転の手続きを行い、売却が完了します。
売却時にかかる費用や税金
不動産売却時には、さまざまな費用や税金が発生します。
主な費用としては、不動産会社への仲介手数料(売却価格の3%+6万円が目安)、印紙税、登記費用などがあります。
また、売却益が出た場合は、譲渡所得税や住民税が課税される可能性があります。
ただし、居住用財産を売却した際の特別控除や軽減税率の適用を受けられる場合もあるため、事前に税理士や専門家に相談することをおすすめします。
売却後の次の住まい
売却後の住まいとして、新たに住宅を購入するか、賃貸住宅に移るかを検討します。
新しい家を購入する場合、売却益を頭金として活用できますが、再度住宅ローンを組む際には審査が必要です。
賃貸住宅を選ぶ場合は、引越しのタイミングや初期費用を考慮し、スムーズな移行を計画しましょう。
また、リースバックという方法で、売却後も同じ家に住み続ける選択肢もありますので、自分のライフスタイルに合った方法を選ぶことが大切です。
売却でローンを返済できない「オーバーローン」の場合
自宅を売却後の残債務を自己資金で完済する
オーバーローンの状態で自宅を売却した場合、売却代金だけでは住宅ローンを完済できません。
この残債務を自己資金で補填する方法があります。
自己資金が不足している場合は、親族や友人から借りることも検討できます。
また、無担保ローンを利用する方法もあります。
具体的には、銀行のカードローンやクレジットカードのキャッシング、消費者金融からの借入れなどが挙げられます。
ただし、これらの方法は金利が高く、返済負担が増える可能性があるため、慎重に検討する必要があります。
最終的には、総合的な返済計画を立ててから行動することが重要です。
「住み替えローン」で別の住宅ローンに変える
オーバーローンの場合でも、「住み替えローン」を利用することで、新たな住宅ローンに組み替えることが可能です。
住み替えローンは、現在の住宅ローンの残債務と新居の購入資金を一体化して借り入れるローン商品です。
これにより、残債務を新たなローンに含めて返済していくことができます。
ただし、金融機関の審査が厳しく、一定の条件を満たす必要があります。
収入や信用情報、物件の評価額などが審査対象となりますので、事前に金融機関に相談し、詳しい条件を確認することが重要です。
任意売却する
任意売却は、金融機関の同意を得て市場価格に近い金額で自宅を売却する方法です。
オーバーローンの場合でも、任意売却を行うことで競売よりも高い価格で売却できる可能性があります。
これにより、残債務を減らすことができ、返済負担を軽減できます。
任意売却には専門的な知識と交渉力が必要なため、経験豊富な不動産会社や弁護士に依頼することが推奨されます。
ただし、任意売却を行っても残債務が完全になくなるわけではないため、その後の返済計画についてもしっかりと考える必要があります。
任意売却のメリット
任意売却は、住宅ローンの返済が困難になった場合に、競売を避けて自宅を売却する方法です。
ここでは、任意売却を選択することで得られる主なメリットをご紹介します。
市場価格に近い価格で売却できる
任意売却では、一般の不動産市場で物件を売却するため、市場価格に近い金額で売却することが可能です。
競売の場合、落札価格が市場価格より大幅に低くなる傾向がありますが、任意売却ではそのリスクを回避できます。
これにより、残債務を減らすことができ、将来的な返済負担を軽減する効果が期待できます。
また、適切な価格設定と販売戦略により、より高い価格での売却も目指せます。
残債務の減額が期待できる
任意売却では、売却後に残る住宅ローンの残債務について、競売よりは減額が期待できます。
銀行としても、競売よりも任意売却の方が回収率が高い傾向にあるため、銀行にも債務者にとっても有利です。
返済額も、例えば月に1万円など、無理のない返済額にすることも可能です。
これにより、残債務の返済負担を軽減し、経済的な再スタートを切ることが容易になります。
引っ越し費用や生活再建資金を確保できる
任意売却では、売却代金の一部を引っ越し費用や生活再建資金として手元に残すことが認められる場合があります。
これは、銀行との交渉次第で可能となるメリットであり、新しい生活を始めるための経済的な支えとなります。
一方、競売では売却金すべてが返済に充てられてしまいます。
競売では債務者への配慮が一切無いため、任意売却を選択することでよりスムーズな生活再建が期待できます。
プライバシーを保ちながら売却が可能
任意売却は通常の不動産売却と同様の手続きで進められるため、近隣住民や知人に経済的な事情を知られるリスクが低くなります。
また、内見や広告活動も不動産会社が配慮して進めてくれるため、安心して売却活動を行えます。
競売情報は官報で公開され、全てが強制的に進められてしまいます。
プライバシーの観点からも任意売却の方が有利です。
手続き全般で専門家のサポートを受けられる
任意売却では、不動産会社や弁護士などの専門家に依頼すれば、手続きをサポートしてくれます。
(※弁護士に依頼は必須ではありません)
銀行との交渉や書類作成、売却活動など複雑で手間がかかる作業を、専門家による代行が可能なため、ストレスを大幅に軽減できます。
専門知識を持つプロのサポートにより、より有利な条件での売却が期待できます。
任意売却のデメリット
一方で、任意売却には注意すべきデメリットも存在します。
以下では、任意売却を検討する際に理解しておくべき主なデメリットについて説明します。
銀行や連帯保証人など関係者全員の同意が必要で、手続きが複雑
任意売却を行うためには、住宅ローンを提供している金融機関や連帯保証人など、すべての関係者から同意を得る必要があります。
この手続きは時間や手間がかかります。
同意が得られない場合、任意売却を進められない可能性もあるため、事前の綿密な計画と交渉が求められます。
住み慣れた家を出なければならない
任意売却を行うと、基本的には自宅を手放すことになります。
長年住み慣れた家を離れることは、精神的な負担となる場合があります。
特に子供は精神的ダメージを受ける可能性もあります。
引っ越し先での新しい生活環境について、家族と丁寧に話し合う必要があります。
この点は競売と同様ですが、任意売却では引っ越し時期をある程度調整できるメリットがあります。
ただし「リースバック」で、同じ家に住み続ける方法もあります。
信用情報に金融事故が記録される(ブラックリスト)
任意売却すると「ブラックリスト」(信用情報に金融事故が記録)になります。
しかし正しくは、任意売却に至る段階のほとんどの人は、既に住宅ローンの返済が滞納しており、その事実が信用情報に金融事故(異動情報)として載っているのです。
「ブラックリスト」になると、一定期間は新たなローンやクレジットカードの利用が制限されます。
クレジットカードが使えなくなると…
- 普段のお買い物
- スマホの支払い
- ETCカード(高速道路の料金支払い)
- 公共料金の支払い
- 保険料の支払い
などができなくなり、生活に支障が出ます。
売却価格が市場価格より低くなる場合がある
任意売却は時間的な制約があるため、通常の売却よりも早く買い手を見つける必要があります。
その結果、市場価格よりも低い価格で売却しなければならない場合があります。
売却価格が低くなると、残債務が多く残ることになります。
購入希望者の内見対応が必要
自宅を売却するためには、購入希望者に物件を内見してもらう必要があります。
もし内見ができないと、高く売れません。
そのため、自宅を常に清潔に保ち、内見のスケジュールに対応する手間が発生します。
できるだけ高く売るためには、全ての部屋を見せることになるため、プライバシーや生活リズムへの影響が出ます。
影響を少なくするためには、不動産会社との綿密な連携が重要です。
信頼できる専門家へ依頼する手間と費用がかかる
任意売却を成功させるためには、経験豊富な任意売却の専門家に依頼する必要があります。
素人ではとても対応できる出来事ではありません。
そのため、専門家への報酬といった費用が発生し、探す手間もかかります。
適切な専門家を見つけるためには、複数の業者を比較検討し、自分たち家族に合ったサポート体制を提供してくれるか、確認することが大切です。
自宅の売却にかかる手数料や税金
アンダーローンの場合
仲介手数料
不動産会社に売却を依頼する際に発生する費用です。
一般的には「売却価格の3%+6万円(消費税別)」が目安となります。
例えば、3,000万円で売却した場合、仲介手数料は約96万円(消費税別)になります。
この費用は売却代金から支払われることが多いため、手元に残る金額を計算する際に考慮が必要です。
印紙税
売買契約書を作成する際に必要となる税金です。
売却価格に応じて税額が決まり、例えば1,000万円超~5,000万円以下の場合は1万円(軽減措置適用後)の印紙税がかかります。
この費用は契約締結時に現金で支払います。
抵当権抹消費用
住宅ローンを完済した後、抵当権を抹消するための手続きが必要です。
司法書士に依頼する場合、報酬と登録免許税がかかります。
登録免許税は不動産1件につき1,000円、司法書士への報酬は1万円~2万円程度が一般的です。
譲渡所得税・住民税
売却によって利益(譲渡所得)が出た場合、所得税と住民税が課税されます。
譲渡所得は「売却価格-取得費用(購入価格+諸経費)-売却費用」で計算されます。
ただし、マイホームを売却した場合、3,000万円の特別控除が適用されるため、多くの場合は税金が発生しません。
詳しくは税理士に相談すると安心です。
オーバーローンの場合
仲介手数料
オーバーローンでも仲介手数料は発生します。
売却価格に対して計算されるため、売却額が低い場合でも一定の費用がかかります。
手元に資金が残らないケースが多いため、仲介手数料の支払い方法について不動産会社と事前に相談することが重要です。
印紙税
売買契約書の作成には印紙税が必要です。
売却価格に応じて税額が決まります。
オーバーローンの場合でも、この費用は売主が負担するため、事前に準備しておく必要があります。
抵当権抹消費用
住宅ローンの残債務があるため、抵当権の抹消手続きは金融機関との協議が必要になります。
司法書士への報酬や登録免許税はアンダーローンの場合と同様ですが、手続きが複雑になる可能性があるため、専門家のサポートを受けることをおすすめします。
譲渡所得税・住民税
売却によって利益が出ないため、基本的には譲渡所得税や住民税は発生しません。
ただし、特別な事情がある場合は課税される可能性もあるため、税務署や税理士に確認しておくと安心です。
任意売却に伴う費用
オーバーローンで任意売却を行う場合、専門家への報酬や手数料が発生します。
これらの費用は売却代金から差し引かれることが一般的で、自己資金がなくても手続きを進められる場合があります。
ただし、詳細な費用や支払い条件は不動産会社や金融機関によって異なるため、事前によく確認しておきましょう。
引っ越し費用
新しい住まいへの引っ越し費用も考慮する必要があります。
オーバーローンの場合、手元に資金が残らない可能性が高いため、金融機関や買主と交渉して引っ越し費用を捻出する方法も検討しましょう。
任意売却でできるだけ高く売るコツ
任意売却に強い不動産会社を使う
任意売却は通常の不動産売却と異なり、専門的な知識と経験が求められます。
そのため、任意売却に強みを持つ不動産会社を選ぶことが重要です。
経験豊富な業者であれば、金融機関との交渉や手続きもスムーズに進めることができます。
また、広いネットワークと効果的な販売戦略を持つ不動産会社は、より多くの購入希望者を集めることができ、結果的に高い売却価格を実現しやすくなります。
複数の業者に相談し、実績や対応力を比較検討することをおすすめします。
内覧者に良い印象を与えるためキレイに掃除しておく
物件をできるだけ高く売却するためには、内覧時の第一印象が非常に重要です。
部屋を徹底的に掃除し、整理整頓を心がけましょう。
不要な家具や荷物を片付け、空間を広く見せる工夫も効果的です。
また、壁紙の汚れや傷が目立つ場合は、補修やリペアを検討すると良いでしょう。
必要ならば小規模なリフォームや修繕を行うことで、物件の印象を大きく改善できます。
明るい照明を使い、換気を行って室内の空気を清潔に保つことも大切です。
内覧者が「この家に住みたい」と感じるような環境を整えることで、物件の価値を高めることができます。
適正な価格設定と販売戦略を立てる
物件を高く売るためには、適正な価格設定が欠かせません。
市場の動向や周辺物件の相場を調査し、購入希望者にとって魅力的な価格を設定しましょう。
欲を出し、背伸びした価格にしてしまうと、売却までの時間が延び、結果的に値下げを余儀なくされる可能性があります。
任意売却は、売るまでの時間が限られています。
不動産会社と協力して、効果的な販売戦略や広告展開を計画することも重要です。
リフォームや修繕で物件の価値を上げる
小規模なリフォームや修繕を行うことで、物件の印象を大きく改善できます。
水回りの設備を新しくしたり、壁紙を張り替えたりすることで、内覧者の評価が高まり、高値での売却につながることがあります。
ただし、過度な投資は避け、費用対効果を考慮したリフォームを心がけましょう。
周辺環境や利便性のアピール
物件そのものだけでなく、周辺環境や利便性も購入希望者にとって重要なポイントです。
近隣の学校や商業施設、交通アクセスの良さなど、物件の魅力を最大限にアピールしましょう。
内覧時には、これらの情報をわかりやすく伝えることで、購入意欲を高める効果があります。
内覧者への丁寧な対応
内覧時の対応も、物件の印象に大きく影響します。
購入希望者からの質問には丁寧に答え、不安や疑問を解消してあげましょう。
また、柔軟なスケジュール調整や迅速な連絡対応も好印象を与えるポイントです。
信頼関係を築くことで、交渉を有利に進めることができます。
売却活動の進捗を定期的に確認する
不動産会社に任せきりにせず、売却活動の状況を定期的に確認しましょう。
内覧者の反応や市場の変化を把握することで、必要に応じて価格の見直しや販売戦略の修正が可能です。
積極的に情報交換を行い、不動産会社と二人三脚で売却を成功させましょう。
自宅を売却し、住み替える時の「売り先行」と「買い先行」
自宅を先に売却し、後で新居を買う「売り先行」
売り先行のメリット
売却価格が確定してから新居を探すため、資金計画が立てやすい点がメリットです。
予算が明確になることで、無理のない住宅購入が可能となります。
また、売却後に新たなローンを組む場合、自己資金が増えることで審査が通りやすくなる場合があります。
売り先行のデメリット
自宅を売却した後、新居がすぐに見つからない場合は仮住まいが必要になります。
これにより、二度の引越しが発生し、手間と費用が増加します。
さらに、仮住まい中の家賃負担も考慮しなければなりません。
仮住まいが必要
売却と購入のタイミングを合わせるのは難しいため、一時的に賃貸物件や親族の家に住む必要が生じることがあります。
仮住まいへの引越し費用や生活環境の変化に対応する負担が発生します。
新居を先に買ってから、自宅を売却する「買い先行」
買い先行のメリット
新居をじっくりと探すことができ、理想的な物件を見つけやすいのがメリットです。
引越しも一度で済むため、時間と費用の節約につながります。
また、住環境の変化を最小限に抑えることができます。
買い先行のデメリット
現在の自宅がすぐに売却できない場合、旧居と新居の二重ローンになるリスクがあります。
これにより、毎月の返済負担が増加し、家計を圧迫する可能性があります。
金融機関のローン審査も厳しくなることがあります。
二重ローンのリスク
二重ローンは返済負担が大きく、資金計画が不安定になる要因です。
売却が長引くと、想定外の出費が増え、最悪の場合、返済困難に陥るリスクもあります。
事前に慎重な計画と金融機関との相談が必要です。
住宅ローン返済中の家を売却する時の注意点
離婚時の住宅ローンと財産分与の注意点
離婚をする際、夫婦で共有していた財産や負債は財産分与の対象となります。
住宅ローンの残債務も例外ではなく、どのように負担を分けるかを明確にしておく必要があります。
離婚協議書や公正証書で取り決めを行い、将来的なトラブルを防ぎましょう。
連帯保証人の解除は難しい
離婚後も連帯保証人の義務は残ります。
連帯保証人の解除は金融機関の承諾が必要であり、新たな保証人を立てるか、ローンを組み替えるなどの手続きが求められます。
しかし、これらの手続きは難航する場合が多いため、事前に専門家に相談することをおすすめします。
不動産の名義人・住宅ローンの契約者を確認する
不動産の登記名義人と住宅ローンの契約者が一致しているか確認が必要です。
名義人が複数いる場合や、ローン契約者と名義人が異なる場合は、売却手続きが複雑になる可能性があります。
全員の同意が必要となるため、早めに関係者と話し合いを行いましょう。
共有名義の場合、名義人全員の同意が必要
不動産が共有名義の場合、売却には名義人全員の同意が不可欠です。
一人でも同意しない名義人がいると、売却手続きを進めることができません。
スムーズな売却のためには、名義人間でのコミュニケーションを密にし、共通の理解を得ることが重要です。
税金の注意点
住宅ローン返済中の家を売却する際、税金面での注意が必要です。
売却によって利益や損失が出た場合、それぞれ適用できる税制上の特例があります。
税金に関する手続きや特例の適用には複雑な部分も多いため、税理士などの専門家に相談することをおすすめします。
この章では専門家のアドバイスを受ける前の、事前知識としてご紹介します。
アンダーローンの家の売却益に対する課税
売却額がローン残高を上回るアンダーローンの場合、売却益に対して所得税や住民税などの「譲渡所得税」が課されます。
少しでも税金を抑えるためには、確定申告を行い、適用可能な税金の特例を利用することが重要です。
アンダーローンのときに使える税金特例
- 居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例
マイホームを売却した場合、譲渡所得から最大3,000万円を控除できます。
この特例により、多くの場合、譲渡所得税が軽減または非課税となります。 - 所有期間10年超の居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例
マイホームの所有期間が10年を超える場合、長期譲渡所得に対して軽減税率が適用されます。
通常の税率よりも低い税率で課税されるため、税負担を減らすことが可能です。
これらの特例を受けるためには、確定申告時に必要書類を提出する必要があります。
適用条件や必要書類については、税務署や税理士に確認してください。
オーバーローンで使える税金特例
売却額がローン残高を下回るオーバーローンの場合、「特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」を利用できます。
この特例を活用することで、譲渡損失を他の所得と相殺でき、さらに最大3年間の繰越控除が可能です。
適用には一定の条件があるため、詳しくは税務署や税理士に相談しましょう。
確定申告の重要性
適切な税金の特例を受けるためには、確定申告が必須です。
申告を怠ると、本来受けられるはずの控除や軽減措置が適用されず、余分な税金を支払うことになる可能性があります。
期限内に正確な申告を行い、税制上のメリットを最大限に活用しましょう。
住宅ローン返済中の売却まとめ
住宅ローン返済中の家を売却する際には、多くの選択肢と注意点があります。
アンダーローンの場合は通常の売却手順で進められますが、オーバーローンの場合は任意売却や住み替えローンなど特別な対策が必要です。
また、離婚や税金などの複雑な問題も関係してくるため、専門家のサポートが不可欠です。
売却時の費用や税金、手続きの流れを正確に理解し、自分の状況に最適な方法を選ぶことが成功への鍵となります。
このページのまとめ
- 住宅ローン残高と売却額を比較し、アンダーローンかオーバーローンかを確認することが重要
- オーバーローンの場合、任意売却や住み替えローンなどの解決策を検討する必要がある
- 任意売却にはメリットとデメリットがあり、専門家のサポートが成功に不可欠
- 売却時の費用や税金を正確に把握し、特例や控除を活用することで負担を軽減できる
- 離婚や共有名義などの特殊な事情がある場合、早めに対策を講じることが重要
- 物件の魅力を高め、適切な販売戦略を立てることで、より高い売却価格を目指せる
早めに専門家に相談して、最適な解決策を見つけましょう。